レベルデザインの学習

Unity5を使ってガン・シューティングゲームを作っています。とりあえずある程度実装できましたが、少し単調すぎてどうしたものか悩んでしまいました。そこで一度手を止めて、レベルデザインについて調べてみました。2016年のUniteのワークショップで、大野 功二さんが初心者向けにレベルデザインについて講義してくれていて非常に参考になります。

 

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制作中のガンシューティングゲーム
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単調なのを何とかしたいが…

レベルデザイン

日本でレベルという言葉を使う場合は、RPGゲームのレベル上げのように使いますが、英語の場合は、レベルはfloorと同じ意味もあるそうです。先ほどのYoutube動画で、いくつか注意点が描かれていたので整理してみます。

  1. 変化、コントラストを作る
  2. 遊びの「幅」と「深さ」を理解する。
  3. 起承転結、序破急を作る。
  4. フック(予兆、前兆)を作る。
  5. 失敗した理由を分かりやすくする。

1.変化、コントラストを作る

以下画像のように、なだらかに上昇していく場合は、人はあまり変化や驚きを感じません。プレイヤーに手応えを感じさせるには、ある程度の高低差のあるものなどを用意するべきです。

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継続的な変化
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大きな高低差

敵を出現させるときも同様で、継続して少しづつ出すよりかは、ウェーブのような仕組みを用意したり、一匹出たと思ったら、次は大量に出てくるなど変化を付けると良いです。

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敵の増え方が緩やか
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一匹の後は、大量に出てくる例

ある程度ゲーム経験のあるユーザー向けだからと言って、いきなり大量の敵で、継続的に増加していくなどは避けたほうがよく、うまく量や緩急などを調整していく必要があります。

私の作っているゲームでこの事を応用する場合は、敵のゾンビを秒単位に順々に増加していくのではなく、ウェーブ形式にして、ゾンビの数の調整、ウェーブ毎に出現するゾンビの種類、ウェーブのタイミングなどを細かく調整していける状態にしたほうが良いようです。

 

2.遊びの「幅」と「深さ」を理解する。

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敵の色や大きさで種類を増やす例

ここでいうは、単純にバリエーションです。以下のような項目を修正すればよいのでこれは実装も簡単です。

  • 体力の増減
  • スプライトの大きさ
  • 速度
  • 移動経路の種類
  • 移動速度

「深さ(Depth)」ですが、これは組み合わせの事です。

  • 敵の組み合わせ
  • 敵と地形の組み合わせ

以下の画像は、敵はそれぞれ別の角度でジャンプしているだけです。しかし地形が階段になり、複数の敵が配置されると、プレイヤーは複雑に感じます。この組み合わせが発生した場合、プレイヤーは戦略を考える必要が出てきます。これによりゲームの深み、つまり面白さが生まれてきます。

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実際、ゲームをしている時、あまりにも難しい仕組みの場合はストレスでしかありませんが、ちょっとした部分を攻略できたりすると「よし!」と手ごたえを感じることがあります。シューティングゲームやアクションゲームは特にこの傾向が強いです。

 

3.起承転結、序破急を作る。

シンデレラ曲線や感情曲線でGoogle検索すると、この手の資料はたくさん見つかります。一番はじめに説明した「コントラストを作る」をふまえて、2D Platformerの場合は、はじめは簡単にしつつもコントラストを意識し、最後にボスを用意すればよさそうです。アクションゲームやシューティングゲームの場合は、中ボス、ボスで緩急を付けやすいので、経験が少ない場合は積極的に中ボスなどを用意するのもよさそうです。

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引用:https://youtu.be/Dgcdo_VPHh8?t=1h2m19s

ボス素材は用意する必要ない?

ボスのキャラクターを用意しなくても極端に大きくしたりするとボスっぽくなるので、あとは攻撃方法や移動方法を調整するという手もあります。

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キャラクター素材は同じでも、極端におおきくするとボスっぽい

 

4.フック(予兆、前兆)を作る。

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予兆がない死

基本的に、突然死になることはやってはいけません。プレイヤーのストレスになるだけです。ゲーム実況などで盛り上がる部分ではありますが例外のようです。

上記の画像の場合、トゲが見えていてグラグラしていたら、それは予兆になるので、プレイヤーは推測や試行錯誤で楽しむことができます。

 

5.失敗した理由を分かりやすくする。

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トゲに刺さってプレイヤーは死ぬ。

よく分からないまま失敗すると、プレイヤーは「もう一回やってみよう」ではなく、「よくわからなくて、つまらない」となってしまいます。エフェクト、効果音などを駆使して、失敗した理由を分かるようにして、「これをやればいけそうだ!」と挑戦させるようにしなければなりません。

 

ここまでを踏まえてチュートリアル・ステージを作成。

 

弾丸を撃つのとジャンプをするだけのプレイヤーと、ジャンプするだけの敵を作成して、シンプルな2Dプラットフォーマーを作成しました。

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チュートリアル・ステージは全然面白くありません。しかし、レベルデザインを学習したことにより、言葉でレベル(=場)の流れやそこにオブジェクトを配置した動機や理由を説明できるようになりました!

このサンプル・プロジェクトには、コインなどの報酬やスコア、ハイスコアなどがないため、リスクとリターンなどのゲーム性をまだ追加する必要があります。

 

このプロジェクトの配布

Unity5.4

https://hajimete-program.com/games/LevelDesign48H2.zip

まとめ

レベルデザインを学習して、実際にチュートリアルステージを作ってみました。漠然とオブジェクトを配置するだけではなく、意図を持ってオブジェクトを配置できるようになったのは自分の中でとても大きいです。あとは、ステージをもう少し継続して作っていきながら、3Dゲームにつなげていきたいです。

物質自体に色はない?

Unityのマテリアルチャートをみると、プラスチックなどの非金属の場合は、sRGBは、50-243の範囲で使うとあります。今まで0-255でやってきた値と異なります。そこで、色とは何かを調べてみたのですが、ccs-inc.co.jpの記事がとても分かりやすく、光源と物体と目の関係を説明してくれていました。イチゴを青色LEDで見ると、かなり黒くなっているのはとても新鮮な感覚で見ることができました。

また、UnityのマテリアルのAlbdoも、その色を反射する値と考えれば納得できそうです。

https://docs.unity3d.com/jp/current/Manual/StandardShaderMaterialCharts.html

http://www.ccs-inc.co.jp/s2_ps/s1/s_04/column/light_color/vol11.html

http://www.ccs-inc.co.jp/s2_ps/s1/s_04/column/light_color/vol12.html

http://illustrator-ok.com/illustrator_koza/color/contents/color1.html

 

Unity5のライティング学習資料

Unity5では、PBS(Physical Based Shading,物理ベースシェーディング)や光を焼く(Bake)という仕組みがあり、単純に色はRGBで0-255で指定すればよいというものではありません。またマニュアルを読んで設定項目を読んでもいまいち知識がないため消化不良になってしまいます。

Unityのライティングの学習 Part1 を作成して、自分用の実験用プロジェクトが作成できたので、設定項目の意味が分からないながらもスライダーを調節して、[Build]を行って、影響をシーンビューで判断できるところまで来ました。またいろいろ試すことで、Unityエディター上でどこに項目があるかも分かってきました。

此処までで様々なライティングのキーワードが分かったので、Google検索でさらに情報を入手できるようになりました。公式でグラフィックスについていくつかセッションがあるので、確認してさらに知識を深めようと思います。

Unityとアセットツールで学ぶ「絵づくり」の基礎(ライト、シェーダー、イメージエフェクト)

http://japan.unity3d.com/unite/unite2016/schedule

上記URLに、PDF資料もあり、駆け足ですが多くの事が説明されています。私のような初心者ははっきり言ってわからないことだらけですが、コーネルボックスを作って実験していけば、また知識が付くと思うのでやってみます。

 

[Unite 2015 TOKYO]Unity 5グラフィックスガイド 実践編

110分という長い動画ですが、これを見ることで全体像が掴めそうです。私のようにUnityの入門書を買わずに行き当たりばったりで学習している人は一度見たほうが良いかもしれません。

その他、グラフィック関係の動画。

 

http://tongullman.blogspot.jp/2015/05/unity5.html

Unity 5 Lighting Cookbook

 

Unityのライティングの学習 Part3

Unityのライティングの学習 (Part1, Part2)で、GIを設定するための基礎知識を学び、また自分で試行錯誤するためのサンプルプロジェクトを作成しました。今回は、このサンプルプロジェクトに実際に各種設定を行い、GIを体験しましょう。

まずは、Part1で学んだ以下を再確認しましょう。

  • GIは、反射光を考慮します。
  • GIは、初期設定で有効です。
  • GIは、静的オブジェクトが対象なので、チェックが必須。
  • GIは、焼き作業が重いので、Resolutionパラメータを要調整。
  • Lithtオブジェクトは、とりあえずmixedに

手順としては、動かないプリミティブをすべて静的オブジェクトにします。次に、Resolutionパラメータを小さくしておきます。最後にLightをmixedにします。

1.プリミティブオブジェクトを静的オブジェクトにします。

プリミティブオブジェクトを選択して、右上の[Static]にチェックを入れるだけです。

 

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複数選択して、Staticにチェックを入れている例

2. Resolutionパラメータを小さくします。

メニュー->Window->Lighting(下から6番目ぐらい)を選択して、Lightingタブを表示して、Precomputed Realtime GIとBaked GIのResolutionを0.5~1ぐらいにします。

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初期設定では、[Auto]チェックボックスにチェックが入っているので、自動で焼き処理が開始されます。遅い場合は、[Auto]のチェックを外してキャンセルしてしまいましょう。そしてResolutionを調整し、[Build]するか、[Auto]のチェックを付けましょう。

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3.LightのBakingをmixedにします。

2をやった時点ですでにGIはできています。そのためこのBaked GIにかかわるこの設定はどういう意味か私自身もう一度調べる必要があります。いずれにせよ、一度mixedにしてみましょう。ポイントライトとDirectional Lightの両方に以下設定をしました。

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4.Lightingタブ

現在のLightingタブです。

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結果

赤い箱に近い地面の色は赤くなって、青い箱の近くの地面の色は青くなっています。

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GIができた!
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立方体が微妙な色になっている。

ただ、解像度が低い設定影響か分かりませんが、立方体の黒い影が微妙な色合いでした。とはいえ、今後設定項目を調べていけばよい話なので今回はこれで良しとしましょう。

このプロジェクトの配布

Unity5.4

https://hajimete-program.com/games/SandboxLighting02.zip

まとめ

3回にわたりGI(Global Illumination、グローバル・イルミネーション)の基礎から実際に試行錯誤できるプロジェクトを作成しました。今後は、公式マニュアルとGoogle検索を活用して、設定項目の意味を調べていきましょう。

Unityのライティングの学習 Part2

今回は、GIを適用する前のポイントライトを1つ、キューブをいくつか並べた単純なプロジェクトを作成します。

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FPSコントローラーでFPS視点で動かせるようにします。

プロジェクトの新規作成

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スタンダード・アセットのCharactersをインポート

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PlaneをScale(100,1,100)で作成。

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FPSControllerがカメラを持つので、Main Cameraを無効化

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Standard Assets/Characters/FirstPersonCharacter/Prefabs/FpsControllerをシーンにドロップ。適当に初期Y座標を設定。

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壁の作成

Create Emptyで、’Walls’を作って、その中に6面をCubeで作成します。隙間が空いていなければよいので大きさ、位置は適当でよいです。

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プリミティブの作成

特に細かいルールはありません。

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Materialを作成して割り当て

https://docs.unity3d.com/jp/current/Manual/StandardShaderMaterialCharts.html

Unityは、物理ベースシェーディング(Physical Based Shading,PBS)です。物理ベースレンダリングと呼ぶ場合が多いようです。これは色を付けるときに、金属か非金属(布、プラスチックなど)を考慮します。

そのため、Materialは非金属の場合、sRGBの範囲は50-243です。0-255ではありません。金属の場合は、186-255になります。上記チャートのsRGB RANGEという部分に記述されています。

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スフィアにSilverを割り当て、キューブにRed,Blue,Greenを割り当て、他はWhiteマテリアルを割り当てました。

Silverの作成方法

公式マニュアルのチャートにSILVERが用意されているので、Albedoスポイトでシルバーを指定しましょう。

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Red,Green,Blue,Whiteは、Materialは非金属で、sRGBの範囲は50-243で作成します。Redの場合、RGBAは(243,50,50,255)になります。

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非金属のsRGBの範囲は50-243

ポイントライトの作成と調整

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またDirectional Lightの位置は以下にしました。この値に特に理由はありません。

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最後にグループ化したWallsをY,Z軸を5にしました。これも特に理由はありません。

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最終的にできたもの

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このプロジェクトの配布

Unity5.4

https://hajimete-program.com/games/SandboxLighting01.zip